人間関係を円滑にしたい、チームのパフォーマンスを高めたい、もっと良い空気をつくりたい——そんな願いを持つ方にとって、「ポジティブフィードバック」は非常に心強いキーワードです。
本書『国際エグゼクティブコーチが教える 人、組織が劇的に変わる ポジティブフィードバック』は、ただ相手を褒めるだけではない、成長を引き出す関わり方の本質を教えてくれます。
この記事では、実際に読んで感じたポイントを3つに分けて考察し、ポジティブフィードバックの可能性について掘り下げてみます。
考察①:ポジティブフィードバックは“信頼関係”の土台になる
ポジティブフィードバックは、人間関係を深めるための強力なツールです。
相手の良いところを見つけて伝えるという行為は、相手へのリスペクトを言葉で形にすることでもあります。
実際、職場や家庭など、日常のあらゆる場面で「ちゃんと見てくれている」と感じられる言葉には、不思議と安心感があります。
本書では、ポジティブフィードバックを「相手の成長を促す関わり」として捉えている点が印象的でした。
ただのお世辞や表面的な褒め言葉ではなく、相手の行動や努力を具体的に認めることが大切です。
たとえば「ありがとう」だけで終わらず、「あの場面であの判断をしてくれたおかげで、スムーズに進んだ」と伝えるだけで、相手に与える影響は大きく変わります。
信頼関係は、こうした具体的なやりとりの積み重ねによって生まれていきます。
だからこそ、ポジティブフィードバックは単なる「良い言葉」ではなく、人間関係の質を底上げする土台になるのです。
考察②:ポジティブフィードバックは「タイミング」が命
ポジティブフィードバックは、内容だけでなく「いつ言うか」が非常に重要です。
本書の中で繰り返し強調されていたのは、「良いと思ったら、その場で伝える」ということでした。
感謝や称賛は、新鮮なうちに伝えるからこそ、相手の心に響きます。
たとえば会議中、ある発言が議論を建設的な方向へ導いたと感じたとき、その直後に「さっきの意見、流れを変えるきっかけになったね」と伝えることで、その人の行動はより強化されます。
一方で、後になってから曖昧な形で伝えると、「今さら?」という印象を与えてしまうこともあります。
ポジティブフィードバックには“賞味期限”があるのです。
その場で、具体的に、タイミングよく伝えること。
それが、相手のやる気を引き出すポイントになるのです。
考察③:「自分では気づけない強み」を伝える力
ポジティブフィードバックには、もうひとつ大きな価値があります。
それは、相手自身が気づいていない「強み」を引き出す力です。
人は意外と、自分が何を得意としているのか、どんなところに価値があるのかを自覚できていないことが多いです。
本書では、相手の“無自覚な魅力”に気づいてそれを伝えることが、フィードバックの醍醐味だと語られています。
たとえば「いつも話を整理してくれるから、議論が深まってるよ」という一言は、本人にとっては当たり前の行動だったかもしれません。
でも、他人の視点を通して初めて「自分の価値」に気づけることもあります。
それが、自己効力感(=自分にはできるという感覚)を高め、さらなる成長への一歩になるのです。
だからこそ、観察力とフィードバック力はセットで磨くべきスキルだと感じました。
まとめ
ポジティブフィードバックは、ただ相手を持ち上げるためのテクニックではありません。
信頼を築き、行動を強化し、相手の可能性を引き出す、まさに“未来をつくる言葉”です。
本書ではその本質を、豊富な実例とともにわかりやすく解説してくれていました。
日常のなかで、ほんのひと言を丁寧に届けるだけで、人の心は大きく変わります。
だからこそ、ポジティブフィードバックは誰にとっても磨く価値のある技術だと、改めて実感しました。
私たちの周りにも、きっともっと伝えるべき「良さ」があるはずです。
それに気づいて、言葉にしていける人でありたいと思います。
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