薄毛や抜け毛に悩む人は少なくありません。
特に、何をやっても効果を感じられないと感じる人にとって、本書は希望の一冊になるかもしれません。
著者の辻敦哉氏は、育毛サロンの現場で多くの改善事例を持つ“結果重視”のプロ。
本書では、その知見をもとにした具体的かつ実践的なアドバイスが詰まっています。
本記事では、その中でも特に印象的だったポイントを3つに絞って考察していきます。
考察① 「髪に良い=洗浄力が強い」は間違いだった
髪や頭皮を清潔に保つために、しっかり洗うことは当然のように思えます。
ですが本書では、「洗いすぎ」が頭皮トラブルの大きな原因であると指摘しています。
洗浄力の強いシャンプーを毎日使うと、頭皮に必要な皮脂まで洗い流してしまいます。
これが乾燥を引き起こし、結果的にフケやかゆみの原因になってしまうのです。
さらに皮脂を奪われた頭皮は、「足りない分を補おう」として、逆に皮脂を過剰に分泌するようになります。
たとえば、洗顔をしすぎると肌がつっぱる、という経験は誰しも一度はあるのではないでしょうか。
それと同じことが頭皮でも起きているというわけです。
つまり、清潔にすることは大事ですが、それは「適切に」行う必要があるということ。
強いシャンプーでゴシゴシ洗うのは、かえって逆効果であることを忘れてはいけません。
考察② 塩素除去が「髪の常識」になる日が来るかもしれない
水道水に含まれる塩素が頭皮や髪に与える影響について、意識している人は少ないかもしれません。
しかし、本書ではその点にも丁寧に触れています。
塩素は殺菌のために必要な成分ですが、同時に頭皮の常在菌にもダメージを与えるとされています。
常在菌は、頭皮のバランスを保つために必要な存在。
これらが減ると、雑菌が増えやすくなり、フケや炎症の原因にもつながります。
著者は「塩素除去シャワーヘッド」や「塩素除去タブレット」の活用を推奨しています。
これにより、頭皮環境が整い、髪が育ちやすい土台ができると述べています。
普段使っている水にまで目を向けるというのは、一見地味に思えるかもしれません。
ですが、こうした小さな積み重ねが、育毛においては非常に大きな意味を持つのです。
考察③ オイルパックが毛穴の詰まりを取る新習慣に
毛穴の汚れが育毛を妨げることはよく知られていますが、具体的にどう取り除けばいいか分からないという人も多いでしょう。
本書で紹介されている「オイルパック」は、その解決策のひとつです。
特に注目したいのは、オイルの種類と使い方にまで言及されている点です。
アーモンドオイルやアボカドオイルなど、天然成分を使うことで頭皮への刺激を最小限に抑えながら、過酸化脂質(酸化した皮脂)をやさしく浮かせて除去します。
さらに、オイルパックとセットで行う頭皮マッサージには、血行促進という嬉しい効果も。
血流がよくなることで、髪に栄養が届きやすくなり、成長をサポートすることが期待されます。
高価な育毛剤を買うよりも、まずはこうした基本的なケアから始める方が、効果的である場合も多いのではないでしょうか。
まとめ
本書『髪が増える術』では、「特別な育毛剤に頼る前にやるべきこと」が数多く紹介されています。
そのどれもが、「頭皮の環境を整える」というシンプルな原則に基づいています。
洗いすぎをやめ、塩素を避け、適切な保湿とケアをする。
これらの積み重ねが、結果的に髪を育てる土壌づくりにつながります。
最新の成分や高価な機器を追い求めるよりも、まずは自分の生活習慣を見直すこと。
それが、髪の悩みを根本から解決する第一歩になるかもしれません。
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